何が適切か
写真の三大要素、構図、ピント、露出。
露出の三大要素、絞り、シャッタースピード、ISO。
さあ、今あなたは晴天の日にISO100のフィルムを詰めた露出計の無いカメラを持っている。
カメラの設定をどうするのが適切なのか。
そんな事を考えながらファインダーを覗くと、いたずらにダイヤルを回すだけでいつまでもシャッターを切れないのではないだろうか。
もしそんな事があるのならフィルムカメラをやめてAE,AFがついた最新のデジタルカメラを使うべきなのだろう。
デジタルカメラは必ず"答え"を出してくれる。
1000人が1000枚写真を撮っても全部同じような写真にしてくれるだろう。
それこそ雑誌やハウツー本に載っている設定さえしてしまえば、誰でも同じ写真を撮れる。
デジタルカメラを否定するつもりは無いが、自分がデジタルに辟易したのはこの「誰でも同じ写真を撮れる」と言う部分だ。
デジタルハンコ。そんな感じ。
さっきの問題は少し前なら自分にも分からなかったと思う。しかし今なら絞りをF16に合わせ、シャッタースピードを1/125に設定するのがセオリーかも知れない。
だが個人的にはF11の1/250にすると思うし、被写体によってはF16、1/250。はたまたF8の1/500でも良いのだ。旧いカメラなので1/1000のシャッタースピードに不安があるのであまり使わないが、F5.6の1/1000で切ったらきっと写真の左側に謎の幕が現れる。それはそれで楽しいだろう。
そしてフィルムカメラなので写真を撮った後にいちいちモニターを確認しなくていい。
日中であれば露出はそんなに変わらないからダイヤルを頻繁に触る必要もない。
絞りも絞りっぱなし、つまりパンフォーカスなのでピントさえ合わせなくていい。
自分がするのはシャッターを押すだけ。
何も考えず、脊髄反射でいい。
写真に失敗も成功も、答えも間違えもない。
ライカを買って良かった。
でもデジタルカメラも一台欲しいよね。
とまあ写真を撮るのは簡単なはずなのに、今のデジタルカメラは設定項目が何千とあって利用者を困らせているのではないか。
写ルンですでいいのではないか。
写真は楽しい。
カメラのスペックなんてそんなに関係ない。
俺の好きな写真家はきっと写ルンですでも素敵な写真を撮るはずだ。
自分もそうありたい。